他ジャンルだけど書きたい

こんにちは羽衣です。

書きたくて仕方がなかったのでテニプリでサエ樹。
熱が冷めるまでちょくちょく書いていこうと思います。

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「ほら、樹っちゃん。もう泣かないの」

ぼろぼろと大粒の涙をこぼす可愛い子の頭をなでる。
ときどきしゃくり上げながら、樹っちゃんは涙をぬぐおうと手で顔を覆っていた。


「だっ・・・って・・・・・・負け、ちゃった・・・のね・・・っ」
「樹っちゃんが悪いんじゃないからさ。まだ、チャンスあるし」
「でも、勝って・・・サエと・・・みんな、と、全国・・・」


止まらない涙は樹っちゃんの手から滑り落ち、コートに真新しいシミを作っていた。
ぽつぽつと、そこにだけ雨が降る。
樹っちゃんの想いが詰まった雨が。



・・・負けた。
ダブルスで、青学に負けてしまった。

せっかく見つけた天才不二の攻略法。
長い長い時間をかけて、攻略したつもりだった。

そのために、樹っちゃんが陰ながらすごく努力していたのを、俺は知っている。


誰もいなくなった真っ暗なコートの上で、ぽん、ぽんと弾む黄色いボール。
微妙に回転するそのボールを、樹っちゃんは何度も何度も打っては、ぼそりと呟いていた。

『・・・まだ、なのね。まだ駄目なのね・・・完全に、回転を殺さないと・・・』

汗だくになっても、日が沈んでも、樹っちゃんはずーっとボールを打ち続けていた。
そんな樹っちゃんの姿を見てしまったら、声なんかかけられるはずないじゃないか。
「もう遅いし、帰ろう？」なんて。
こんなに頑張っているのに、水を差すようなことはできなくて。
その時、俺は樹っちゃんが満足するまで、ずっとコートを見つめていた。



負けてられない、と、俺も毎日のように走りこみをした。
瞬発力をあげて、あの菊丸に追いつけるほどの足を手に入れなければいけなかった。


そして、俺たちは手に入れたはずだった。
天才二人の、完全なる攻略を。




でも、やはり壁は厚かった。
樹ちゃんも、ぎりぎりまであきらめずに頑張ったけれど。
不二が無理やりに反してきたカウンターを、頑張って掬いあげるように打ち返していたけれど。

でも、駄目だった。

それが悔しくて、悔しくて。
その悔しさは、樹っちゃんの目からあふれ出てきてしまったのだ。




「オジイを・・・全国につれて行きたかったのね・・・」
「うん」
「サエと、最後のテニスを全国で飾りたかったのね・・・」
「・・・・うん」
「ごめんなさい、サエ。俺が、弱かったから・・・」
「そんなことないよ。樹っちゃん」



樹っちゃんは頑張ったよ。
誰よりも、誰よりも。
皆を想って、誰よりも頑張っていたのを、俺は知っているから。



「だからさ、樹っちゃん。泣かないで」





また皆で・・・・・二人で、頑張ろう。




そう呟いて、俺は涙でぬれた樹っちゃんの頬にキスを落とした。








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今更すぎる21巻ネタ。
せめて比嘉中戦で書こうよ自分。


・・・いや、ただ単に昨日友人から借りてみた21巻の樹っちゃんが可愛かったから・・・（←