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日々のぼやき

羽衣のくだらない日常や、小ネタなど。 拍手返事もここで。

2024'05.19.Sun
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2009'06.17.Wed
こんばんは、羽衣です。


明日からテストのため、少し篭ります。
明日から7月1日まで…になります。

単位がそろそろやばいことになってきたので(今年出席日数少ない)
本気で勉強してきます。


うん、頑張ろう。
大丈夫、私には樹っちゃんがついている。うん。



それでは、置き土産にサエ樹と六角っ子を残していきます。
7月1日に戻ってきたときに、またなんか書きたい…





ひらり。ひらり。
華が散る。夢が散る。

さようなら全国。
さようなら、皆とテニスをやっていた、日々。


でも、もう少しだけ。

もうすこしだけ、








【わるあがき】












波の音が聞こえる。
ここは、俺のお気に入りの場所。
学校近くの海岸。

皆で走ったり、皆で潮干狩りしたり。
皆で泳いだり、皆でふざけあったり。

そんな思い出が染み付いている、特別な海岸。
そんな海岸で、一日に別れを告げて、真っ赤になって沈んでいく太陽を見るのが、好きだった。


俺はもうすぐ部活を引退することになる。
青学に負け、すでに俺たち三年生が、再びあの舞台に行くことは叶わなくなった。
けれど。
それでも、よかったと、思える。

もちろん、悔しいし、皆で頑張ってきた毎日を思い出すと、泣けてくる。
悔しくて、悔しくて。
もっと皆とテニスがしたかったと、大声で叫びたくなる。

でも。
後悔はしていない。
俺たちは全力で戦った。
バネ、ダビデ。
剣太郎。
そして、俺とサエ。
首藤と亮に舞台を用意してあげられなかったことが少しだけ悔やまれるけれど、それでも、いつものメンバーであのコートの上で全力で戦えたのは、本当に嬉しかった。
そして、何より楽しかった。

きっと、俺はこの事を、大人になっても忘れないと思う。
いや、忘れるなんて出来ない。
だって、こんなにも皆との思い出は綺麗で、きらきらしていて。
いつだって、目を瞑れば浮かんでくる、みんなの泣き、笑う顔。
「頑張ったね」「勝ちたかった」「悔しい」
でも、何より「楽しかった」
そう言い合う仲間達の顔は、きっと誰よりも輝いていた。



夕日が赤く染まる。
大好きなこの風景は、なぜか日に日に物悲しさを帯びていくような気がした。

一日の終わり。
部活が終わって、皆とサヨナラした後に訪れるこの場所。
俺がここに来るのは、もうずっと昔からだ。

海が好きだから。
皆と過ごしたこの海が好きだから。
だから、見ていて飽きないのだ。


だけど、海を見ていて、「さびしい」なんて感情が出てくるのは初めてで。
俺は、少し戸惑っていた。




「いっちゃん」



声が聞こえて、俺はゆっくり振り返る。
本当は姿を確認しなくても、声で誰かわかったけれど。



「サエ。どうしたのね。先に帰ったんじゃなかったんですか」
「んー、そのつもりだったんだけど。なんか樹っちゃんに会いたくなっちゃった」



にこりと笑って、そう言ったサエは、俺の隣に腰を下ろした。
海から流れてくる、少し潮の香りのする風が、サエの綺麗な髪を撫でる。
それは夕日のオレンジに染まって、きらきらと光っているようだった。


「あと、何回この景色が見れるだろうね」


ふと、サエがこぼす言葉。
その言葉に、思わずびくりと肩が震えた。


「…何言ってるんですか。見たくなったらいつでもここに来れますよ」
「うん、まぁ、そうなんだけどさ。そうじゃなくって」


サエは困ったように笑って、地平線に視線を移した。
吸い込まれるように、だんだんと下がっていく大きなオレンジ色の玉を見つめるサエの瞳は、ほんのりとオレンジ色に染まっていた。


「部活帰りにさ、こうやって樹っちゃんとこの制服で並んで見られるのは、あと何回かなって」


もうすぐ、俺たち卒業だから。

サエの言葉が、いやにクリアに頭に響く。
…そつぎょう。
呆けたようにそう鸚鵡返しに言えば、サエはこくりと頷いた。


「…そうか。だから、なのね」
「何が?」
「大好きなこの景色を見て、ちょっと悲しくなった、理由」



だからだ。
この景色が少し悲しく思えたのは。
この景色を見るたびに、大好きな、この一日が終わる夕日を見るたびに、悲しくなるのは
終わりが近付いているから。
大好きな中学校に、サヨナラしなくちゃいけないから。

いままで当たり前だったことが、ガラリと変わる瞬間が近付いてきている。
しかも、それは俺が数えられるほど、近くに。

今まで数えようなんて思わなかったから、どうして悲しくなったかが理解できなかったのだ。




「そうか。そうなのね。だから悲しかったのね。もう、俺たち…六角中生徒じゃ、なくなっちゃうから」
「…樹っちゃん」
「六角中生徒として、この景色を見れるのは、もうわずか…なのね」



あと、少し。
楽しかった日々と、さようならするまで、あと少し。

そう思うと、目の奥が熱くなった。

もちろん、この景色が消えてしまうわけではない。
この景色はここにあり続けるし、皆と永遠に別れてしまうわけではない。
でも、みんなと一緒にテニスをして、皆と笑って、みんなと泣いたあの日々とは、もうサヨナラしなければいけないのだ。


…いやだ。

サヨナラなんて、したくない。
まだ皆とテニスをしたい。
バネと、ダビデと、剣太郎と、亮と、首藤と

…そして、サエと。

皆で走り回って、小さなボールをムキになって追い掛け回して。
そんな日々を、いつまでも続けていたいのに。



ぽたぽた。

頬を伝うなにかを感じて、驚いて頬をこする。
濡れていた。
まさかと思っていると、砂浜に真新しいシミが出来た。



「…あれ?おかしいのね…なんで俺、泣いて…」
「……樹っちゃん」
「ご、ごめんなさい、なのね…すぐに…」
「いいよ、樹っちゃん。泣きな」


ぽん。
サエの手が、俺の頭に置かれる。
そして、そのままサエの肩に引き寄せられて、まるで子供をあやすように、いーこいーこと、頭を撫でられた。

俺は子供じゃないのね。

そう言ってやりたかったけれど、言葉は涙に飲み込まれてしまった。


涙が次々と溢れてくる。
とめられない。

ああ、情けない。
そう思いながらも、サエから伝わるぬくもりに安心して、またそれに涙がこぼれてしまった。



ずっと一緒にいたい。
ずっと一緒にテニスをしたい。
ずっと一緒に潮干狩りをしたい。

ずっと一緒に、この中学校で

ずっと一緒に、笑って、泣いて

ずっと、ずっと。



そんなの叶わないと知っているのに。
そんなの、ただの子供じみた我がままだとわかっているのに。
なのに、諦め切れなかった。
あまりにも、あの日々が楽しすぎたから。



「大丈夫だよ」



ぽんぽん。
規則正しいリズムを刻みながら、サエがゆっくりと口を開く。



「大丈夫。たしかに、六角中生徒ではなくなっちゃうけど、でも、どんなに月日が流れても、大人になっても、俺は、俺だけは樹っちゃんの傍に居るから」



樹っちゃんの傍にいて、樹っちゃんが好きなこの夕日を見よう。
何度でも、何度でも。
そう、死ぬまで、ずっと。



「…そんなの、無理にきまってるのね」
「あはは、樹っちゃんはリアリストだなあ」
「みんな、変わっちゃうのね。俺も、サエも」
「そんなことないよ。たしかに、全部今までどおり…ってことはできないかもしれないけど。でも」


俺が樹っちゃんを好きな気持ちは、これから先絶対に変わらないから。


なんの恥ずかしげもなく、サエは優しくそう俺に言う。
その言葉にむずがゆくなりながらも、嬉しくて、少しだけ頬が緩んでしまった。


「あ、やっと笑った」


嬉しそうに、サエが言う。


「やっぱり、樹っちゃんは笑ってるほうがかわいいや」
「本当に、お前は恥ずかしいやつなのね」
「ふふ、でも本当のことだもの」


サエの笑う顔は、心から嬉しそうなもので。
さっき見ていた夕日よりも、ずっとずっと綺麗だな、と思った。
言ったら調子に乗るから、言わないけれど。




「あ、やっぱりここだ」
「おーい!サエ!樹っちゃん!何やってんだー?」
「まだ帰ってなかったの?サエさんたち!」
「クスクス…サエ、樹っちゃん泣かせてないだろうね?」
「おいおい、冗談に聞こえねぇぞそれ」



聞きなれた声が耳に届いて、振り返る。
ダビデと、バネと、剣太郎と、亮と、首藤。
いつも一緒に居る、テニス部メンバーの5人は、大きく手を振りながら、俺たちの名前を呼んでいた。



「オジイがね、今日みんなで花火やろうって言ってくれたのー!」



だから、これから皆で花火しよう!

剣太郎の嬉しそうな声。



「そうか。わかった。俺たちも参加するよ」
「当然!」
「サエと樹っちゃんが居なきゃ、始まらないぜ!」
「俺たち六角テニス部全員そろってこその花火大会だからね!」
「クスクス…打ち上げ花火は首藤担当だね」
「嫌だよ!絶対お前、俺に向かって花火蹴っ飛ばすだろ!」
「花火…花火……あ。花火だけに、鼻からロケット噴射…」
「この、ダビデが!」
「ちょっ…!バネさんタンマ!」





いつもの会話。いつものやり取り。
その賑やかさが、暖かく胸に染みた。

サエが俺の手をとって、立ち上がる。
俺もそれに釣られて立ち上がると、サエは俺の顔をみて、にっこりと微笑んだ。


ほら、心配ないでしょ?
これからも、皆変わらないよ。


口に出さなくても、サエがそういいたいということがわかった。


…そうなのね。変わらないのね。
大人になって、時間の流れ方が変わっても、きっと、このメンバーは変わらない。
きっと、いつまでも、ずっとこうやってふざけあえるはずなんだ。



「さ、みんなの所に行こう。樹っちゃん」
「がってん」




笑い合って、サエと手を繋いで、みんなの所に走り出す。

たとえ別れの時間が迫っていても。
こうやって一緒に居られる時間にサヨナラしなきゃいけない時が近付いても。


最後まで、抗ってみせる。







『みんなと、いつまでも、いっしょに』







************


サエ樹と六角の皆。

やっぱり六角はみんな仲良しがいい!


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とことんマイナー好きなので、どん引きされるのはしょっちゅう。
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